iDeCo? 利回り? 今さら聞けない投資のアレコレを、投資初心者の2人が
投資のプロ“さわかみ君”にぶつけます。第8回は「どうすればいい? 子どもへのお金の教育」
岡 子どもへのお金の教育って、何から始めたらいいのでしょうか? お小遣いの渡し方でも定額制、出来高制、プレゼント制など色々あると思いますが、さわかみ君はどのように考えていますか?
さわかみ君 世間一般的には定額のお小遣い制が多いと思われますが、私は必ずしもお小遣い制でなくてもよいと思います。
岡 お小遣いはあげなくてもいいということですか?
さわかみ君 子どもにお小遣いを毎月定額で渡すことによって、お金の管理や使い方を学ぶのも重要だと思います。ただし、お金はあくまでも手段です。大事なのは、自分が将来やりたいことはどのようなことなのか、社会とどのように関わっていきたいのか、という生き方について、子どもの頃から考える機会をもつことだと思います。
「ハッピー・マネーのピギーちゃん」という貯金箱を知っていますか? お金の入り口が貯蓄・消費・寄付・投資の4つに分かれている豚の貯金箱です。また別の話として、世界的に有名な投資家であるジム・ロジャーズは、子どもにお小遣いをあげる際、複数の通貨(ドルとか元とか)に分けているそうです。このように“お金の使い方”を教育するお小遣い制度もあるのですよ。
五来 今の自分のためだけでなく、未来や社会のためにお金の使い方を考えるってとっても素敵ですね!
さわかみ君 金融関係の仕事に就いている友人は、子どものモチベーションを上げるために、テストなどの点数が上がったらお小遣いを増やすという、成果主義のような形にしているようです。そうすると子どもも頑張りますよね。
お小遣いについてはおそらく様々な考え方があると思いますが、子どものうちはお金の管理というよりは、お金に対する向き合い方、さらには自分自身に向き合う時間を作ることの方が大事だと私は思います。
お金に対する考え方でいえば、お金がどのように増えたり、使われたり、またどのように社会を循環しているのかという経済的な観点から広く社会を学ぶことも大事だと思います。単純に「利回りがこうだから、利益はこうなる」ではなく、「なぜ利息が生まれるのか。なぜそれらは変動するのか」など、お金と経済について総合的・複合的に考えられるような教育をしていくのがいいでしょう。
岡 息子に聞かれても答えられる自信がない…。親も一緒に学びたいくらいです。
さわかみ君 お金の教育において大事なこと、それは子ども達が“自分で答えを見つける力”を身に付けていくことだと思います。だから、その先にある“お金の本質”を伝えられるのであれば、どのような方法でもいいのではないでしょうか。
岡 考えることが力であり、糧になる、ということですね。
さわかみ君 それを前提にすると、例えばお小遣い制の場合は、お金をどのように使うかを子どもに考えさせることも面白いと思います。また成果主義の方法をとるなら、お小遣いアップやご褒美など、頑張ってもらうための要素を考えることも重要です。仮にそのように教育をする場合は、「どうすればお金は手に入るのか」「より多くお金を稼ぐにはどうすればよいか」など労働や対価、さらには投資という観点について考えられるといいですね。
五来 お金の使い方と稼ぎ方を考える。すごく面白いですね。
さわかみ君 今の子どもたちはスマートフォンを当たり前のように持っています。そしてその電話代は親が払っています。お小遣いとして換算するとものすごい金額になってしまいますよね。でもおそらく、電話がタダで支給されていると思っている子ども達も多いのではないでしょうか。そこであらためて毎月その電話にどれくらいのお金がかかっているのか、そのお金はどこからきているのかなど家族で話し合い、スマートフォンを手放す代わりにお小遣いを増やしてもらう、など、本人に選択してもらうのもいいかもしれませんね。どっちも欲しいと言われかねませんが…。
お金の教育に限らず、親がすぐに答えを教えるような事をせず、自分で考え、自分で答えを見出せるような環境づくりを整えておくのが大事です。そしてこれらを行うには親子のコミュニケーションが重要です。子ども達は知識は少ないかもしれませんがバカではありません。必ず自ら考える力を持っています。長い目で、そして寛容にサポートしていくことが大事なのではないでしょうか。
岡 お小遣いの概念が変わりました!
五来 パートナーとも話してみたいと思います。
ありがとうございます。