最終回である今回は “ さわかみグループ ” の総括となります。約1年をかけて10 を超える企業・団体を紹介してまいりましたが、最後は、改めて「さわかみグループとは何なのか」をお伝えできれば幸いに存じます。
一般生活者の財産形成のお手伝いをさせていただく。しかも本格的な長期投資で。長期投資とは単なる資産運用ではなく、おカネに想いを乗せた投資をし、企業を通じて社会を応援できる仕組みです。社会が豊かになり、そこに貢献した企業の利益が上がり、更にはそんな企業を応援していた投資家にも結果的に分け前が戻ってくる(リターン)。違う言い方をすれば、投資家が想い想いの社会を想像し、その社会に向けて必要だと考える企業を応援した結果、期待する社会に近づき、更には投資収益も得られる。それが長期投資の醍醐味です。
では、資産形成は何のためにするのか。将来の不安を減らすため?夢をかなえる資金を得るため? 資産を守るため? 目的は様々ですが、間違いなく言えることは「経済的な自立を果たすため」です。資産形成の過程で経済的な自立が見えてきたら、いよいよそのおカネの使い方を考えます。できたらカッコよく使いたい。子どもたちに憧れられるようなプチ資産家になりたい。それが今後の日本をさらに強くしていく大人の責任だと思います。
そのような、カッコよいおカネの使い方のモデルになるべく、さわかみ財団が設立されました。さらには投資する過程で、あの企業の技術とその企業の販売網が重なると付加価値が倍増するなどのアイデアが生まれた結果、一対一の投資の関係ではなく、価値と価値をつないで産まれる価値(ソーシャルキャピタル)を醸成しようと立ち上がったソーシャルキャピタル・プロダクション、そしてグループのシステム会社であるウルソンサービス、新しい金融の在り方を提案するローカルプラスなどが続々とグループに加わってきました。現在ではグループの長としてさわかみホールディングスがあり、その下にさわかみ投信を筆頭に各事業会社がぶら下がり、それらグループの余った利益を社会還元すべく各財団が存在するような組織展開をしております。
上述の文章、実はずいぶん前にレポートでお送りしたものです。あの頃よりグループ企業数は倍増しましたが、理念や流れはまったく変わっておりません。そして繰り返し言いたいことは、各事業は単独の道楽ではなく、長期投資の可能性が広がるに従い、必然性をもって生まれたものです。すべてが地中の根で繋がっており、地上で見られる花や実が様々な彩を放っているに過ぎないのです。
今後もたくさんのアイデアと情熱、志によってグループ企業は増えていくことでしょう。しかし根っこは一緒です。できれば、ファンド仲間や多くの皆さまとも一緒に、未来を想うそれぞれの花を咲かせられる世の中にしていきたいと願っています。それが、さわかみグループの理念です。
さわかみ投信株式会社 代表取締役社長 澤上 龍