モバイル金融でケニア経済の“かえる跳び”を支える通信キャリア
コロナ禍で明らかになった日本の社会課題のひとつが行政のデジタル対応の遅れです。給付金を受け取るために、申込書を郵送し一ヶ月以上も待った方も多くいらっしゃると思います。
東アフリカに位置し、赤道直下の国であるケニアでは、通信キャリア企業のサファリコムが人々のコミュニケーションと金融を支えています。同社のエムペサというデジタル決済・貯蓄サービスにより、買い物、給与や保険金の支払いと受け取りだけでなく、アカウントと行政の個人情報が紐づいているので納税などもモバイル1台で行うことが可能です。
ケニアのような途上国では銀行口座を持たない人が大多数であり、ATMなどの現金インフラが全く立ち遅れていました。しかしモバイルの普及とデジタル決済技術の進化により、現金よりも便利で安全な金融システムが出来上がりました。このような途上国が先進国の社会システムを一気に追い越す現象は、リープフロッグ(かえる跳び)と呼ばれています。
ケニアは人口増加と経済成長が続いており、エムペサの取引額は今後も指数関数的に拡大すると予測されます。その成長機会を捉えて、社会課題を解決しながら企業価値も跳躍することを期待しています。
【アナリスト 加地 健太郎】