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株式会社アンビスホールディングス
代表取締役CEO
柴原 慶一 様(右)
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弊社取締役最高投資責任者
草刈 貴弘 (左)

 


 

草刈(以下 草) 今回は、株式会社アンビスホールディングス代表取締役の柴原様に登場いただき、同氏が創業に至るまでのストーリー、そして同社が運営するホスピス“医心館”の魅力に迫りたいと思います。早速ですが、医心館という事業はまったく新しいビジネスモデルなのでしょうか。

柴原(以下 柴) 当社が運営する医心館は医療依存度が高い方々、例えば、がん末期の方や人工呼吸器・気管切開対応の方、神経変性疾患など特定の難病に罹患している方に特化して受け入れています。医心館のサービスとは、これらの方々、そしてご家族にとって安心できる療養の場を提供することです。
医心館は有料老人ホームに訪問看護事業所と訪問介護事業所を併設したもので、それぞれは20〜30年も前に制度化された事業であり、これらの事業を組み合わせたサービス提供も珍しくありません。ただ、医心館の場合には、医療依存度が高い方々を積極的に受け入れており、またこれを可能とするために強固な看護・介護体制を敷いています。看護・介護職員を入居者数とほぼ同数配置し、入居者は自宅に住むような快適性を得ながら、いつでも近くに手厚いケアを求めることができる安心感があることが、他にはない医心館の特長となっています。

 医療や介護は、誰もが必ずお世話になる「個人の問題」と、制度や財源がそれを支える「社会の問題」という側面があります。二律背反であることが問題を更に難しくさせます。私たちが当たり前と思っている医療や介護が、将来では当たり前ではあり得ないかも知れない現実がある。この部分については、柴原さんが創業するまでのお話をお伺いしながら理解を深めたいと思います。

なぜ順風満帆の研究者が実業家へと舵を切ったのか

 ところで、柴原さんは元々研究者でいらっしゃいましたね。研究者から実業家へと大きく舵を切ったきっかけは何だったのでしょうか?

 研究者として一定の成功を収めたので、自分へのご褒美でカリブ海のリゾート地へ遊びに行きました。浜辺に寝転んで海を眺めている時にふと「研究を辞めて、実業家に転向しようかな…」と思ったのです。研究者としては、それほどストイックではありませんでしたし、今思い返せば、きっと自分でも無理をしていたのでしょう。研究者時代には生活費の工面で本当に大変でした。そのために色々と副業していたのですが、それがうまくいったこともあり「ビジネスって意外と自分に向いているかもしれない!」とは思っていました。当時、研究室を主宰する立場にあったのですが、その立場では研究費の獲得、若手研究者や大学院生の育成など、マネジメントも研究と同じように大切な仕事であり、当初はこれが苦手でした。ただ、克服していくうちに「いっそのこと会社を経営し、世の中にもっと近いところで人に役立つことをしよう」という考えが40歳の頃には明確になっていきました。ですが、成功するアテもなく、築いてきた研究者の立場を捨てるのは勇気がいりました。迷っていた私の背中を押したのは、小さな起業セミナーで講師がポッと発したひと言「人生に第二章があっても良い」という言葉。この言葉で「よしキャリアチェンジしよう!」と心に決めました。

 その時には現在の医心館に繋がる様なビジネスの種はあったのでしょうか? 経歴を拝見しますと突然、岩手に行かれていますが。

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