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果てなきイノベートで医療を変える、社会を変える

 特定の医師やケアマネジャーを自社グループの内に囲えば、コミュニケーションの相手方が限られるわけですから、お互いに何かとやり易いのではないかと考えます。それでも医心館では、主治医は全員外部、ケアマネジャーも原則継続としている。これは、コミュニケーションや関係性を構築するためのコストを要しても、そのことで透明性と公明性が生まれる意義をより重要視されているからと理解しました。ところで、複数の事業所を同時に開設し軌道に乗せる運営力には何か秘密があるのでしょうか?

 特徴的なのが本社集約型の運営体制です。当社は施設長やエリア長という中間管理職的なポストを設けず、その代わりに、採用、営業、売上・コスト管理、人材管理、クレーム対応や教育指導といった機能なり役割なりを本社に全て集約しています。経営陣が売上、利益やコストなどをしっかり見る。現場の職員たちは目の前にいる入居者の生命と生活の安全に集中する。煩わしい雑務から解放し、現場の本来業務であるケアに専念させたいのです。また、本社と現場との間に階層がないので意思決定は速く、展開スピードも上がります。私たちは仕組みだけでなく、オペレーションまでもイノベートする発想をもった会社なのです。

 最後に貴社の今後の展開について教えてください。

 現在、医心館の入居者の過半はがん末期の方々ですが、強固な看護体制を備えた医心館のポテンシャルはさらに大きいと考えています。そのひとつとして、今後は地域のニーズに応える形で、交通事故や先天的な要因で障害や病を持った方、45歳未満の重度障がい者や18歳未満の重度医療ケア児の方の受入れも進めていければと考えています。ただし、自分たちのできることを冷静に見極め、責任ある医療・ケアを提供するというのが医療のあるべき姿だと考えています。がん末期の方と重度障がい者や重度医療ケア児を看る場合、それぞれの方に対する看護ケア上の留意点や必要な人員体制も異なってきます。まずは、実績を重ねながら、一歩一歩確実に進んでいくことになろうかと思います。そのためには、人材育成が必要です。日本の地域医療を自分たちが支えていくのだという燃え尽きない使命を持って、これからもイノベートを続けていきたいと思います。

 


 

株式会社アンビスホールディングス
代表取締役CEO
柴原 慶一 様

名古屋大学医学部卒。京都大学大学院(分子生物学)。国内外の研究機関で遺伝情報の複製機構をテーマに研究。2010年に研究室を閉鎖。以後、実業家の道を歩む。2013年に株式会社アンビス、2016年株式会社アンビスホールディングスを設立。医師、博士(医学)。

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