2022年度より高校での金融教育が始まりました。ここでは、お金を通した社会との関わり方や、子どもの未来のために何をすべきかなど、学校の授業では教えてくれない「お金」と「生きる力」の育み方についてご紹介します。
教えてくれるのは、さわかみ投信確定拠出年金部の計倉宗州(とくら そうしゅう)です。ファイナンシャルプランナーと企業年金総合プランナーの資格を持つお金のプロです。11歳の息子を持つ父である彼に、お金との向き合い方や実践しているお金の教育に関して根掘り葉掘り聞いてみました。今回は、消費と投資について。
自分を守るための投資
— 前回、加速するインフレに対応するには、企業も個人も差別化できる強みを持ち収入を上げること、将来のために時間をかけてコツコツ行う“自分の資産を守るための投資”が必要というお話を聞きました。
https://www.sawakami.co.jp/media/webmagazine/202206special/
差別化できる強みは何なのか…については、自分探しをしている真っ最中ですが、将来のための投資はすぐに始めたいなと思いました。どれくらい投資にまわせるのか、毎月のお金の流れを洗い出してみたら想像以上に支出が多くてびっくりしました…。
計倉: 目の付け所がいいですね! だいたい投資をやろうと思い立つと真っ先にどの商品が儲かるのかを調べる人が多いのですが、毎月の支出に着目するのはとても大切なことです。実際、支出を調べてみてどうでしたか?
— 食費が一番大きいです。あとは、キャンプグッズや子どもの習いごとに関するものはかなり吟味して買っていますし、必要経費だと思うのですが、数ヶ月使っていないサブスクや、試しに買ってみた化粧品など、覚えてないくらい細々した雑費が多かったです。
計倉:覚えてないくらい細々とした雑費…まさにちりも積もればってやつですね(笑)。実は投資で毎月確実に5%とかで運用しようとしても難しいんですけど、このほんまに自分に必要かどうかわからない支出を見直すだけで支出を5%ぐらい改善させることはできるんですよ! さらに固定費(家賃、光熱費、通信費、保険料等)にメスを入れることができればもっと余裕資金が生まれる可能性も出てきますよ!
— 確かに、ひとつひとつは数百円、数千円なんですが、それが集まると結構なボリュームになりますよね。特にこだわりのない商品に関しては、価格以外では産地や原材料くらいしか見てないです。
計倉: 産地や原材料を見るのも大切ですよね。私は管理栄養士の妻によく「また余計な添加物が入ったものを買ってきて〜」ってダメ出しされます…。それはそうと、全ての商品について色々チェックして買うなんてさすがにできないと思いますが、毎日食べるものや使うものって自分なりにこだわりを持っているはずですよね。改めて自分なりの基準やこだわり、優先順位の付け方を整理してみても良いかもしれませんね。そのうえで、商品を生み出した会社にも着目してはどうでしょうか? 例えば売り上げの一部を寄付している会社だとか、従業員がすごく楽しそうに働いているだとか、何が良い・悪いではなく、自分の価値観に合うものを選べばいいと思いますよ。そんな風に能動的に商品を選べば無駄を減らせるはずです。
あと個人的に不思議だなーと思うのが、この会社に投資してるって言いながら、その会社の商品を買っていない人って多いんですよね。<消費>と<投資>が別になっちゃってる。
本当に必要とされている企業は残り続ける
— 確かに私も以前個別株を持っていたことがあったんですが、その会社の商品を優先的に買うとかはなかったです。単純に株価が上がりそうだから買ったというか。
計倉:多くの人がそうだと思うんですよ。株価が上がりそうだからとか、誰かがすごいオススメしてたからとか。
本来、投資って資産形成はもちろんですが、自分の好きな商品をつくっている会社を応援する行為でもあると思うんです。みんながこの商品が好き! 無かったら困る! って思ってたら売上に繋がりますよね? それは消費を通じて売上に貢献するってことですから、その会社の株価が上がる可能性もあります。だけど、何のこだわりもなくただ安いからこっちを買うってなったら、「いや全然応援したくない会社の売上に貢献してるやん!」ってツッコミたくなりますよ(笑)。言ってることとやってること違うやんって。
— 一人ひとりが考えて消費をすることで、本当に必要とされている企業は残り続けることができるんですね。そう考えると、私たちにも社会や未来をつくる権利と責任がありますね。ちなみに計倉さんはどんな会社に投資をしているんですか?
計倉:たとえば、子どもが生まれる前からおもちゃメーカーに投資をしています。将来子どもが生まれたら間違いなくおもちゃ欲しがるだろうと。その会社の株主優待を利用すると、4割引でおもちゃ買えるんですよ! 最近のおもちゃって高いんでしっかり活用させてもらいました。※当社の社内ルールでは、入社前から所持している株式を除き、株式投資ができません。
— 4割引!!うちの子どもが今5歳で毎週のように「おもちゃ買って」攻撃を受けています。そういった選び方もあるんですね。
計倉:普段の生活の延長線上というか、いつも使っている商品やサービスから逆算して投資する企業を選べるといいですよね。
— 「この商品が好き!」という生活に欠かせないものですね!それだったら、消費と投資がイコールになりますね! 消費をすることで企業を応援していると思うとなんだか気持ちも良いですね。
【計倉 宗州(とくら そうしゅう)プロフィール】
さわかみ投信株式会社 確定拠出年金部 部長
AFP/2級DCプランナー
茨城県つくば市在住。都内勤務。1児(小4♂)の父。生まれも育ちも関西ですが、2008年に現職に転職のため上京。いまだに東京に慣れてません。基本的に関西弁しか話せません。趣味は料理です。