今年で24期目を迎えたさわかみファンド。社長の澤上と、CIO の黒島、取締役戦略室長の熊谷が「さわかみファンドの今後についてどのような未来を描いているのか」を、ざっくばらんに大いに語りました!今回は2部構成の前半をお送りしますので、ぜひともご覧ください!
※当記事は「さわかみファンド」運用報告会2022 ONLINE にて行われた鼎談より抜粋しております。
熊谷(以下 熊) さわかみファンドには、多くの日本企業が組み入れられています。昨今は少しだけ外国企業にも投資しておりますが、それでも主要な投資先は日本企業です。そこでお二人に質問です。日本企業の強みは何でしょうか。そして、さわかみファンドはなぜ日本企業にこだわっているのか教えてください。
黒島(以下 黒) 素晴らしい80 年、100 年企業さんがこの密度でこの島国の中にあります。身近なところに存在する嬉しさとか、よく知り合える方々が近くにいらっしゃるのだから、そりゃあ心から応援していきますよ。
また、デジタルへの流れが進むほど、入口と出口のアナログ的なところの価値が増していくと私は思っています。例えば抵抗器とかセンサーとか。良い品質のものがあれば、その価値はどんどん増していくはず。日本企業の強みは品質の高さであり、それがさわかみファンドの価値に繋がっていると思います。
澤上(以下 澤) 私たちは日本人じゃないですか。「なぜ日本に住んでいる私たちが、身近な日本企業を応援できないのか?」という思いが根底にあります。
多くの投資家は、日経平均株価が4万円を超えると言っても信じないでしょう。
しかしながら、投資家自身が超えないと思っているからこそ、超えられないというジレンマがあります。30年、40年、50年という長いスパンで見れば、大きく成長した企業はたくさんあるにもかかわらず、です。
このような成長企業の集合体となるよう日経平均株価の構成を変化させ、投資家から期待されるようになれば、(日経平均株価)10万円ですら簡単に超えてくると思います。
企業がいかに努力しようとも、全体指数が高いからと売られてしまっては、元も子もありません。“ 企業の努力 ” に “ 投資家からの期待 ” が重なることで、日本全体が元気になるのではないでしょうか。
さわかみファンドは、今後も私たちが住んでいる“ 日本 ”というマーケットを “ 私たち自身 ” が活性化させていこうよ、元気にしていこうよ、ということを毅然な態度で示していきたいと思います。
熊 これからもさわかみファンドは、日本企業をメインに投資するということでしょうか?
澤 さわかみファンドの第一ミッションは、「財産形成のお手伝い」です。従って、日本株に固執するということはなく、外国株、債券などあらゆる資産が投資対象となりえます。
しかしながら、日本企業を応援するということは、さわかみファンドの存在意義でもあります。他の資産にお金を移したとしても、日本企業を応援しに戻ってくる姿勢・心意気を持っているというのが正しい回答だと思います。
熊 今年の6月に大きな組織改編がありました。どのような背景や意図があったのでしょうか? また、さわかみファンド、そしてファンド仲間の皆さまにとって、どのような未来に繋がっていくのか教えてください。
澤 組織や理念、哲学といったものは未来永劫続いていくもの。対して、そこに携わる人は、変わっていくものです。個人の命には限りがあるからです。だからこそ、組織の中で人が変わるということは自然なこと。さわかみファンドは、これから50年、100年と続いていく中で、5代目最高投資責任者、10 代目ファンドマネージャーというように次世代へと引き継がれていくのです。
そして、これから間違いなく、これまで以上に不確実性の高い、変化の激しい局面に入っていくでしょう。そういう時こそ企業の本質に寄り添い、「この先10年、20年を一緒に成長していこう」という長期視点の投資が極めて重要になってきます。
同時に、ファンド仲間の皆さまの財産形成のお手伝いをしていくということも訴えていかなければなりません。不確実性や変化の激しい時代において、多くの人が拠り所とするのは、信頼と未来に対する期待です。
「こういう方向で行くよ」「こんな頑張っている企業さんがあるよ」といった強い指針やワクワク感を世の中に対して表現し、ファンド仲間の皆さまの安心・信頼に繋げていかなければなりません。そういう意味で、“ 黒ちゃん ” は今後、さわかみファンドを引っ張っていく人間として最適だと思っています。
熊 時代が変化してく中でさわかみファンドは、何を変化させるべきか、何を変化させるべきではないのか。どのように考えていますか?
澤 時代を先取りして、様々な挑戦をしていかなければならないと思います。100年前の手法が今通じるわけないし、今の手法が100 年後に通じるわけもないでしょう。
しかし100 年も前から続く大事なもの、すなわち哲学や理念を変える理由はありません。哲学・理念を引き継ぎながら未来にアジャストしていく。結果として、ファンド仲間の皆さまの財産形成のお手伝い……その先は、大人たちが自立して堂々と生きる姿……そして、それを見た子や孫の世代が勇気や希望を持ち、日本全体が活性化していく、元気になっていくという未来に繋げていきたいと考えています。
黒 自分が当事者となって、歴史を作っていくという姿勢。そういった自助・自立の精神、たくましさを “ 広く・深く・遠く” 追及していかなければなりません。
このような変革の時代に我々が集まれたことを喜ぶぐらい、前向きに明るい発想を持てるさわかみ投信、さわかみファンドでありたいですね。
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澤上と黒島の熱い思いが溢れ、今月号だけでは収まらず……
鼎談の後半は次回、長期投資だより2022年12月号にて掲載予定ですので、お楽しみに!