前月号で触れました機械の据付・位置決めの重要性ですが、下の写真がその時の現場です。足下から大きな金属管が伸びています。部品の接合部や軸の小さなずれが重なっていくと、中のスクリューが管の内壁を擦る→モーターに過負荷がかかる→焼損防止の保護継電器が制御盤で作動→全体が停止ということが起きます。今まで順調に稼働していたプラントが緊急停止することの恐怖感やがっくり感はかなり大きいです。だから、最初の小さい調整や日頃の汚れ取りを徹底しようという使命感が湧きます。これは私が一度体を通して感じた納得解だと思っています。
2008年に当社へ転職したころに励まされたのは、スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチでした。“Connecting the dots(点と点をつなぐ)”とジョブズが言った、その時はわからないけれど後で何かとつながると信じ切ることの大切さと勇気。結果論だとは思いますが、ジョブズが大学を中退後、興味の湧いたカリグラフィ(西洋書道)の授業だけに潜り込んでいたことが、後のアップルPCの洗練された文字の書体を生み出したとのこと。
長期投資の広く、深く、遠くのリサーチも同じような気がします。最初から正解の見えているような投資アイデアはすでに株価に織り込まれているはず。広く、深く、遠く、証券アナリストと産業アナリストの掛け合いで、点と点をつないだ圧倒的な納得解を求めて皆さまのさわかみファンドは力強く前進します。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】