2022年末のある日。ファンド仲間からこんな質問をいただきました。
「さわかみファンド」ってどこまで大きくなるのですか?
シンプルでありながらとても本質的な質問。それに呼応するかのように、自分の考えを言葉にしていったら、やがて文章ができてしまった。それが本執筆の背景です。せっかくのきっかけですので、今後、私、熊谷のコラムとして、日本や社会の未来に向けた意見や考えを時折本紙を通して発信していきたいと思います。題してコラム「未来飛行」。それでは早速滑走を始めることにしましょう。
「さわかみファンド」って
どこまで大きくなるのですか?
想像力、発想力、そして希望をもってこの問いを考えてみましょう。私の考えはこうです。ズバリ360兆円、そして「その先へ」です。
この360兆円とは、現在の日本の銀行預金の総額から貸出金(融資額)を引いた預貸ギャップというものです。つまり、本来果たすべき融資に活用されずに銀行に眠っているお金の総量のこと。
言うまでもなく、成熟した日本経済においてでも銀行融資は必要です。企業、とりわけ中小企業にとっては、資金繰り安定化のためには銀行融資は必要不可欠な存在。しかし、360兆円ものお金が本来の役割を果たしていないのが今日の日本の姿なのです。ならば、さわかみファンドがそのお金を一手に引き受け、資本市場に送り出し存分に活躍してもらおうという発想です。
こうすることにより、銀行で眠る“意思なきお金”が「さわかみファンド」を通して“意思あるお金”として生まれかわり、生きた市場に参加してくるわけです。これは株価の上昇から生まれる資産効果として消費行動を誘発し、大きな経済刺激となります。そしてこのお金は市場への“ばら撒き”とは異なり“選球眼をもったお金”として企業を選別して投資していくわけです。結果、経済のクオリティー向上にも寄与するでしょう。
一方、360兆円ものお金の運用となると、超巨大タンカーを操縦するようなもの。それはファンドマネージャーも大変です。そもそもそれだけのお金を日本の株式市場だけで受け止めるには規模が大きすぎるとも言えるでしょう。となるとどうします? 世界へ行くのです。そう、日本のお金が、日本から世界への投資が「さわかみファンド」を通して始まるのです。
360兆円もの投資家となれば、世界の多くの株式市場において企業の大株主として君臨し世界経済へ大きな影響力を持つことになるでしょう。そして企業を支え社会の発展を促す長期投資家として世界経済の成長に大きく貢献することになるでしょう。結果として、お金の源流である「さわかみファンド」が存在するこの日本は、アジアの金融センターとしてのポジションの確立に大きく寄与することができるかもしれません。
少しばかりロマンチックすぎたでしょうか? しかし大事な事実は、日本にはそれだけのお金が存在し、そのお金が貢献できる未来があるということです。そのような日本の未来創造に携わるべく「さわかみファンド」は成長を続けます。
そして日本を元気に。
日本から世界へ。
【取締役戦略室長 熊谷 幹樹】