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前職の同僚で、なんと鶏卵を金の卵に変えるスーパー研究者がいました。

近年、ワクチンやバイオ医薬品など有用組換えタンパク質(インスリン、成長ホルモン、インターフェロンなど)の需要が拡大しています。これらタンパク質は遺伝子工学の手法で大腸菌を活用して生産されます。目的の遺伝子を取り出し、それを別の遺伝子につないで新しい組み合わせを作り、大腸菌に移植しかつ大量培養して目的のタンパク質を分泌させます。

特許の問題に加え巨大な培養プラントが必要で、生き物ゆえの24 時間体制の温度管理など、最終商品が非常に高価になってしまうのが課題でした。

 

そんな中、2020 年のノーベル化学賞で話題になったゲノム編集技術のクリスパー・キャス9 法の出現で、狙った場所に目的の遺伝子を組み込む精度が飛躍的に向上したそうです。世界で初めてゲノム編集手法を使って卵の内部に有用タンパク質を安定生産できるようにしたのが先の研究者。

鶏卵バイオリアクターというかわいらしい“ 生物工場” に思わずニヤリ。研究所の公表値で卵1 個あたり30 ~ 60mg のヒトインターフェロンが生産できるそうです。その単価は0.01mgあたり2 ~ 5万円と言われているので、卵1個が数億円の価値を生み出す可能性があります。

生き物相手の交配の研究でもあったため、相当な忍耐力と愚直さが必要だったはず。それを乗り越えて絞り出された成果に感銘します。

 

虎視眈々と次の展開を練っている研究者を心から応援しています。金の卵でみんながバラ色!

【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】

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