人材を会社の道具としてではなく“資本”として捉える、人的資本経営という考えが日本でも広まりつつあります。「さわかみファンド」を運用実績と顧客満足の両面で世界一にしていく企業目標の実現のため、当社の考える人材戦略について、さわかみ投信の役員3名と採用担当の山本によるインタビューを実施しました!
本インタビューは2回連続で掲載しております! 後半となる今回は「5年後の当社について」をテーマに、インタビューの模様をお伝えします。
5年後の姿・目標
山本(以下 山) 経営についてお伺いします。さわかみファンドは純資産総額約3,400億円、運用期間20年越えと業界内でもその規模はトップクラスであり、当社が社会に与える影響は相当なものであります。戦略室・運用調査部・そして当社のトップであるお三方に、これから3~5年の間で描いているミッションやプランをお聞きしたいと思います。
澤上龍(以下 龍) 第一に、3,400億という規模の話がありましたが、純資産総額を増やすことに留まらず、財産形成のその先の、面白い世界を共に作っていこうという私たちの考えに共感してくださる仲間の数を増やすことが、中期ミッションの核であると考えています。
私の思い描く理想のファンド仲間との関係性とは、彼らが受動的ではなく能動的に「どういった社会で私たちは暮らしたいか」「社会のために自分たちができることは何か」を考え、当社と共に行動できるような関係値を築くことですが、せっかく理解されたとしてもお金の不安があったら行動ができない。だから、さわかみファンドがそのようなお金の不安を解消し、ただ金融商品を売るのではなく、仲間との連携を図ることで未来を明るくしていきたいと考えています。
これは少し先の話になりますが、究極的に我々は金融機関という既存の枠組みに囚われず、社会に求められているものを考え、0から生み出すことのできるスキームを作り出したいです。このスキームがあれば金融=金儲けみたいなグレーなイメージを払拭できると思っています。
山 金融の枠組みを超えるというのは、例えば「社会インフラを我々が作っていく」のようなイメージでしょうか?
龍 間違ってはいません。本当に人が長く一緒に歩みたいと思うサービスとは何だろうとか、そういうところを突き詰めていきたい、金融商品の売買で完結させてはいけないと考えています。
山 次は熊谷氏にお伺いします。戦略室長として3~5年後、どのような活動をイメージされているのでしょうか。
熊谷(以下 熊) 前提としてユニークであり面白い会社であり続け、自分自身変革者でありたい、そして私たちの取り組みをステークホルダー以外の多くの人々に知ってもらいたい。その種まきを実践し、5年後ぐらいになんか実ってきたなっていうことを感じたいと思っています。
日本には2,000兆円もの埋蔵金(金融資産)があるといわれていますが、その1%でも動いたら、日本経済にとって途轍もない大きなインパクトになります。このことは、さわかみ投信のファンド仲間はもちろんのこと、関わるステークホルダー、ひいては国民にとって自信をつかむきっかけになると思いますし、そのような物語を自ら推進して実現したいと思っています。
山 最後に取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長の黒島氏に運用現場の展望をお伺いしたいと思います。
黒島(以下 黒) さわかみファンドのプレミアム価値、すなわち“うちらしさ”を追及します。当社の長期投資では広く、深く、遠くの徹底リサーチが差別化の源泉です。具体的には、産業アナリストと証券アナリストで構成するチーム作り、特に前者の人員を増やして強化しています。いずれも“元”ですが、研究者、メーカー工場長、建設現場監督、プロスポーツ選手と暑苦しくも愉快な集団になってきました。我々の知的格闘技を通じて、他社にはない投資アイデアを生み出していきます。
既存の情報提供業界から得られる情報は、株価にすでに織り込まれていることが殆どです。そして我々は株価を追う短期的な投資は行いません。そういった中で、当社らしい長期投資のアイデアを生み出すために、“産業アナリスト”の独特の発想力と“証券アナリスト”の精緻で冷静な判断力とで“推”と“論”を闘わせています。このプロセスを磨きこみます。
シンクタンクってよく耳にしますよね。シンクタンクがあるならアクティブタンクもあっていいと思っています。シンクタンクを英訳するとthink tankで、これは考えて何か生み出すことかなと。加えて我々は考えるだけではなくて行動に繋げていきたい。上記のような“推”と“論”のプロセスから得られるアイデアを「長期投資で世の中を面白くしていく」経営理念を実現するために行動・発信するアクティブタンクになっていたいと思います。この形態はまだ日本であまり見ませんので、面白い存在になれるのではないかとワクワクしています。
山 特定の企業・業界を徹底的に調べて終わりである従来のアナリストの姿を転換し、自分から情報を取得しつつも、それをどんどん歩きながら発信していく形態を黒島さんは目指されているのでしょうか。
黒 誤解しないでいただきたいのは、従来のアナリストを否定している訳ではありません。調査力と発信力、両方とも個人の能力としてあればベストですが、そうでなくてもチームでお互い得意なところを補完し尊重すればいいのです。チームとして良い発信ができて、それが投資先企業への“応援投資”につながり、そしてファンド仲間の皆さまの「期待感や連帯感」につながるようにします。投資したらそれで終わりという態度ではなく、投資先企業にもファンド仲間の皆さまにも寄り添う肌触り感のあるさわかみファンドでありたいです。
山 世の中の常識を覆すほどのこの取り組みは決して容易ではなく、生半可な想いでは到底実現できないものと考えます。ですが私たちは社会的責務を果たさなければならない機関投資家であり、実現のため常に行動を起こし続けています。但し幸いなことに当社はとてもフラットです。それは挑戦者が金融業界出身か否かで判断されず、本人の自主性、行動力を何よりの評価指標とするからです。私たちの考えに共感してくださった方、本気の挑戦をしたいと考える方は是非とも当社への挑戦をお待ち申し上げております。