地味で目立たないのですが、レンガは熱に関係する産業の中で重要な役割を担っています。今回は進化しつつあるレンガの加工技術についてご紹介します。結論から言いますと、日本発のレンガが宇宙産業を支える重要な素材となる可能性があります。
宇宙船が帰還する際の大気圏突入時の摩擦熱の超高温に耐え切れるように、宇宙船の壁面に断熱材として貼られるかもしれません。いわゆる断熱材レンガですが、決め手は小さな穴(細孔)をできるだけ多く空けて、熱伝導率の低い空気をどれだけ閉じ込めるかにかかっています。
最近の試作品の画像解析だと、断熱レンガの1割の部分がセラミックスで9割が空気(空隙の細孔)で構成されています。この細孔に規則性を持たせてハニカム状に焼き上げる技術が特許になっていて、研究室レベルで何と98 %の断熱性を達成したとのこと。ヒントは高野豆腐らしいのが微笑ましい。冬の寒い夜に屋外で凍結した豆腐を、翌朝の太陽によって乾燥させることで内部に空気の孔を沢山作ったものが高野豆腐です。
これにならって、特殊な水溶性の高分子(ゲル)とセラミックスの原料粒子を混ぜて凍結し、氷を取り除いて焼くと断熱材レンガの出来上がり。恐るべし、高野豆腐の知恵。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】