日本には世界トップクラスの建設機械(以下、建機)を製造する企業が複数あります。日本製の建機は中古機種も世界から高い人気を誇っています。人気の理由は性能の良さに加えて壊れにくいという強みがあるからです。これまでも品質の良さから「メード・イン・ジャパン」が注目されてきましたが、さらに海外からの注目を集めているのは「ユーズド・イン・ジャパン」です。日本人はルールを守って使用する傾向にあるため、日本で使われていた建機は性能の持ちがよく、海外の中古建機と比較して2割ほど高く取引されています。本紙では世界で活躍する日本の建機事例を紹介します。日本の力を感じていただければ幸いです。
世界の大舞台で活躍する日本の建機
【A社】1989年ドイツを東西に分断していた「ベルリンの壁」が崩壊しました。この壁の撤去の際におよそ40台の日本製ショベルカーが活躍し、歴史の教科書にも掲載されました。この企業の製品は性能の高さはもちろんのこと、乗り心地や快適性、整備のしやすさ等、使用者を虜にしてしまう配慮がちりばめられているのが特徴です。同社は海外売上比率が9割を超え、日本ではあまり知られていませんが、欧米に根強いファンがいます。
【B社】1995年イースター島のモアイ像15体を修復するのに日本のクレーン車が活躍しました。イースター島は全体が世界遺産のため、歴史的な経緯があるものを除き、自然災害で倒れてしまった像を対象に、4年の歳月をかけて修復させました。この企業の製品は目にしない日が珍しいぐらい日本に根付いていますが、海外売上比率5割を超えるグローバル企業です。現在は世界各国で都市化が進み、周囲への影響から短工期で巨⼤建造物を動かす工事が増える等、特殊需要に対応できる企業・クレーン車は限定されます。
【C社】2020年オランダの世界遺産「アムステルダム運河」の護岸改修工事に公募された世界で活躍する技術を有する16グループの中から日本の企業が選ばれました。くい打ち機といえば一昔前まで騒音と振動で社会問題になっていましたが、同社の製品は静音・少振動で特徴的なのは打ち込んだ杭の上で建機が作業するため、工事エリアは少なく済みます。そのため工事はアムステルダムの街中で施工されましたが、生活圏への影響は軽微で、現地の人々から賞賛されました。
このように日本の建機は世界で認められ、世界を舞台に活躍を続けています。
日本人こそ、日本を応援しよう
日本には世界で活躍できる人や企業、そして誇れる文化や国民性があります。冒頭部分で述べたように海外からも高く認められています。少子高齢化かつ成熟経済である日本の将来が不安だという声を耳にしますが、多くの企業は世界を舞台に戦っています。今回紹介した企業以外にも日本の建機メーカーはこれまで数多くの世界初を生み出し、世界で活躍して日本経済を牽引してきました。企業の応援株主になることは、投資家のみならず、日本社会全体にリターンをもたらします。
【運用調査部 アナリスト 鈴木 潤】