先月の「光の国」に続き、「海の国」について考えてみました。日本沿岸は1500種もの海藻が生育する恵みの海です。海藻も植物と同じように光合成しています。光とCO2を吸収して、自分の体(有機物)を作りながら酸素を放出しています。海水中のCO2が吸収されれば、その分大気中のCO2が溶け込むので、(大気中への)CO2排出削減となるのです。ブルーカーボンといって注目されつつあります。ある国家プロジェクトでは、特に光合成機能の高いクロメという海藻を使った研究が進んでいます。2050年の計画として80km四方(0.64万平方km)の大規模栽培で1億トン/年のCO2吸収が目標。2030年に日本が公約とする排出削減目標は約6億トン/年ですから、海藻の持つ潜在力は大したもので希望が湧きます。日本の大陸棚面積は25万平方㎞ですから日光が届く適地はまだまだありそうです。海藻の選択肢が最低1500種もあることも有利な点ですしゲノム編集で品種改良も進んでいます。生産される大量の海藻にどんな付加価値があるかも重要です。食料安全保障の観点でカリウム肥料としての価値に注目しています。陸上で枯渇しつつあるカリウムですが、日本は海藻を通じて海水からほぼ無限に回収できる国になるかもしれません。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】