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常識では陶器や磁器は「焼いて固める」から「焼き物(セラミック)」と考えますよね。その常識を覆す偶然と、そこで終わらせない原理の探求が新事業に繋がった例を紹介します。

かつて宇宙開発において、スペースシャトル表面の固い付着物の除去が悩みの種だったそうです。そこで日本の研究者たちが、この付着物のこびりつきの研究に挑戦。セラミック原料の粉をガスに混ぜて秒速150~400mの高速スピードでガラス表面に衝突させます。ところが偶然に操作を間違えて、温度を上げず室温の状態で粉を吹き付けたらしい。するとなぜか緻密なナノ結晶構造を持つ高密着のセラミック膜(厚さ500マイクロメートル)が完成しました。非常識と見なされたのですが、衝突によって想像を超えて結晶の微細化と活性化が進み丈夫な膜となったこと、結晶のガラスへの食い込みによって密着力が顕著に向上したことが後に証明されます。「常温衝撃固化現象」という後追いの理論は執念の塊です。

この技術は、半導体製造装置の内壁や部材のコーティング膜として実用化済です。半導体製造で致命的な粉塵の発生数を1/10以下に抑制し歩留まりの向上に貢献し、当該企業はトップシェアを誇ります。これぞ時の審判。

【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】

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