日本はある天然資源の大国です。約80~280万年かけて海藻の死骸が海底に溜まって分解され「かん水」として高濃度で地層水中に溜まっています。これを精製してヨウ素が生産されます。ヨウ素生産は特定の国に限定されていて、チリと日本で世界生産の90%、そして埋蔵量は我が国がダントツの1位で75%を保有しています。海洋国ならではの恵みに私は心から感謝しています。これをうがい薬や消毒薬以外でも活かせるとしたら?
それを実現してくれそうなのが、ペロブスカイト太陽電池で日本発の技術です。簡潔にいえば、ヨウ素を主原料とした結晶を薄膜(0.5マイクロメートル)の発電層にして、電極や薄いフィルムで挟み込んで0.2ミリメートル程度のシートにした太陽電池です。ペラペラであること、軽いこと、室内光でも発電が可能である強みを考えれば、私たち生活者のアイデアやニーズで用途が広がりそうです。垂直の壁、乗り物の曲線の屋根、センサー付きウェアの背面、室内の小型機器の電源など実用化の段階で競争が繰り広げられています。原料、結晶化、フィルム化、非破壊検査、リサイクルといった総合力でチームジャパンが優位に立てているのは、太古の海からの贈り物あればこそです。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】