Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

さて、このタイトル。皆さんは何と答えるだろう?
 
日々の生活の中で何かを買えば必ず何かがついてくる。服を買えば、服が手に入る。コンビニでスナックを買えば、お菓子が手に入る。旅行にいけば、楽しい体験を買うことができる。さて、私たちは投資で何を買っているのだろう?
 
株に詳しい人は「企業のオーナーシップを買うのです!」と答えるかもしれない。これはこれで正しい。オーナーシップとは『所有』という意味であり、株に投資すればその企業のオーナーになれる。世界を動かす大企業の株を買えば、株主としてその企業を所有できることになる。なんだかスケールの大きな話だ。でもなんだかイメージしづらい。
 
象徴的に聞こえるかもしれない。
だが、私の回答はこうだ。私たちは投資で「未来」を買っている。それも、投資の先に存在する『企業』、その先の『人』がつくりだす未来を買っているのだ、と。
 
株式投資の起源と言われるのは、15世紀半ばから17世紀半ばまでのヨーロッパ発の大航海時代だ。この頃の航海は常に危険と隣り合わせだった。成功した場合はアジアの香辛料などを大量に持ち帰り、莫大な利益を得ることができた。たが、船が災難に遭った場合の損失は甚大だ。そこで、損失を細分化させる目的で大勢の人に出資を募ったことが『株式』という概念となった。
 
多くの人から出資を募ることで、その新しい可能性の発掘に挑む人が集まった。その挑戦は、新しい航路を切り開き、新しい経済を生み出し、結果、社会を発展させた。そう、投資とは、元来、未来をつくりだす『人』への投資なのだ。『儲け』はその結果としてついてくる。逆ではない。
 
今日、投資に対するイメージはどんなものだろうか? きっと株価が上がった・下がったを、イメージはしないだろうか? それも仕方ないこと。
なにせメディアは毎日、株価の上下動の話ばかりをしているのだから。また、近年ではいわゆる市場全体のパッケージとも言える様々なインデックス商品が人気だ。もはや投資といえばインデックス?
 
一投資家として、コストを低く、リターンを期待できそうな商品を探し出すことが大切であることは一切否定しない。ただ、そこに投資した虎の子のお金は、結局誰に届き、どんな未来づくりに寄与しているのだろう。
 
インデックス商品はそれが見えづらい。となると儲かるかどうか?だけが選択基準となる。それはそれで良いじゃない、儲かれば、と思いたくもなる。だがそう思う個人の総和が社会である。皆が儲かるかどうかだけの投資を選択した先にどんな未来がやってくるのだろう。忘れてはいけない。今日の社会の豊かさとは、先人たちが挑んだ夢や未来づくりへの挑戦の上に成り立っているということを。
 
さわかみ投信は長期投資家である。四半世紀に亘り、これからの未来をつくる企業を丁寧に発掘、選別し長期投資を実践してきた。そこには言葉以上の重みがあると自負している。その投資哲学はこれからも揺らぐことはない。そしてこの未来づくりの試みがさらなる大河となり、「こんな未来をつくりたい」が日本社会全体に広がることを真に願っている。日本が元気を取り戻し、希望溢れる国になるのであれば、皆幸せではないか。

儲けだけが注目される近年の投資。さわかみ投信は今一度『投資の原点』に立ち返りたい。
 
投資って、何を買ってるの?
 
 
【取締役 戦略室長 熊谷 幹樹】

関連記事
RELATED

「熊谷幹樹のコラム 未来飛行」の他の記事
OTHER