もったいないと思うものの一つが雑草です。野焼きは法律で原則禁止されているので、燃やす以外で何とか利用できないものか?
私は生ごみ系廃棄物を微生物に分解させてメタン(天然ガスと同じ成分)に変換して燃料にする研究者でした。その燃料で発電機も回せます。当時は雑草からメタンガスを取り出すのは困難でした。植物細胞壁を壊して微生物が分解できる状態、つまり前処理に莫大な手間とコストが必要だからです。
ところが意外なところにこの細胞壁を壊してくれるヒントがあります。牛の第一胃(ルーメン)の胃液の中にいる微生物たちです。いささか可哀そうですが、と畜場に行けばこの胃液はまとまった量の入手が可能です。問題はこのバクテリアは通常は胃の中すなわち空気の無い状態に生息するため、空気に触れると24時間程度で死んでしまう点です。
そこで、死滅する前にルーメンを培養タンクに密閉し飼育しながら、エサとして草・葉を投入して良好なメタンガスの原料を得るのです。最近の微生物研究者の活躍によりこの前処理方法が飛躍的に発展しました。平時には雑草からの代替エネルギー生産、災害時には身近な雑草・葉から電気を調達する方法として注目されています。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】