「洗練されたローテクはハイテクの足もとを掬う!」私は研究、水処理、金融の師匠たちから、古い技術の合理性や機能美を将来予測のヒントとする思考を学んできました。日経新聞(1月16日)の記事「世界でガスタービン争奪戦」内の“数年先まで生産枠が埋まっている”にニヤリ。ガスタービンは日系重工メーカーが世界トップを競っています。原理的には1791年発の特許案件で古い技術ですが、部材の表面加工や周辺技術とのすり合わせなど高度に研ぎ澄まされたローテクなのです。
一方でハイテクブームのAI。巨大なデータセンター→膨大な電力需要。さてどうやって電力を? しかも脱炭素で? → アマゾンは小型原子力発電へ投資!! ちょっと待ってください。世界中の一般の実体経済はそんなに急激には変われません。現時点での現実的な脱炭素策であるガスタービン発電を選ぶのが合理的でしょう。既存の火力発電から燃焼器の置き換えで対応できるし、石炭から液化天然ガスへ、そして、再生可能エネルギー由来のアンモニア、水素の混焼へ。地域の文化や経済状況に応じて合理的な燃料の選択ができます。将来の消費者がどんな電力を選ぶのか? 洗練されたローテクの役割を忘れる訳にはいかないのです。
【取締役最高投資責任者 兼 運用調査部長 黒島 光昭】