セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
投資を勉強するのにおすすめの本を教えてください。
- #金融一般
回答者による回答
私の回答は下記の岡澤のものに近いです。繰り返される人々の営み、それを時代を超えて知るためには、やはり歴史の本がおススメです。ただ多くの本は戦争や事象を政治面から捉えたものが多い(そういう歴史が記録されがち)ため、そこから「そういった状況下で一般の人たちは何を考え、どう行動したか?」を推察することが大切です。無論、本の中に生活者に関する記述があるのが理想ですね。執筆者が膨大な時間を費やして出版した本を数時間で読めるのは何とも便利なことか。歴史に限らず、様々な本を読んでみてください。著者の意図、読み手の印象、本に書かれていない裏側など、一冊の本でも様々な見方ができ勉強になります。私が好きな本を言うならば、新たな時代へと移る“激動系”です。登場する英雄たちの振る舞いや言動を参考にしています。企業経営者を見るときと同じ感覚かもしれません。
本を読むのも大事ですが、それよりも先に実践することをお勧めします。本を読むことでいろいろなことに興味を持ち知識が増えることは投資をする上で喜ばしいことです。しかし例えば自転車の乗り方という本を何百冊も読み、自転車がどうして倒れずに動くのか理路整然と述べることができても、自転車に乗れなければ意味がありません。実はテレビや書物で出てくる人はこういう類の人が多い。彼らは自分で投資をして儲けているわけではなく、他からの収入で生活しているわけですから、本に書いていることもせいぜい参考程度にして自分なりの考え方を見つけましょう。また実践をしてから本を読むといろいろと気づきがあります。くれぐれも最初は少額から始めて、勉強代の払い過ぎには注意しましょう。
景気変動の波もその原因を辿っていくと“人間の欲望”に行き着くといいます。相場の上下は“人間の欲望”を表している現象のひとつとも言えます。物事を大きく、俯瞰して捉えるという観点から“人間”を深く知るということを提案します。“人間”の営みを辿るということでいえば、“歴史”を学ぶことが大事だと考えます。どうしても歴史を学ぶというと政治動向や英雄譚を思いがちですが、可能であれば、さまざまな時代背景の中で一般生活者はどのような行動をとったのかを知ることをお勧めします。欧州の政治、経済、文化の礎となったローマの変遷について書かれた『ローマ人の物語』(塩野七生著)を一読されることをお勧めします。歴史は韻を踏んで繰り返すといわれます。ご自身の判断軸を養うということにおいても投資のヒントになると考えます。
『まぐれ』(著作:ナシーム・ニコラス・タレブ 翻訳:望月衛)です。この本では、今まで多くの投資ファンドや投資家が、実力よりも運で稼いでいたのではないかということが書かれています。彼らの成功は偶然の産物なのです。特に人間は、批判的思考力を苦手としており、投資実績においても成功バイアスが強くかかっています。なので、破滅(暴落)するリスクを理解できていないのです。この本は投資の方法というよりは、投資哲学の本に近いですが、弊社が主張していることと近いです。特に実力で得たお金とロシアンルーレットで得たお金は違うということは、企業価値を調べて投資した結果とマーケットの動向を調べて得た結果に似ていますが、再現性が全く違うのです。