セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
株式はインフレに強いと聞きますが、今の相場でもその点は変わりませんか?
- #投資運用
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回答者による回答
株式は企業ですので、値上がりを顧客に許容してもらえる企業はインフレに強いと言えます。どのような企業が…という件については以下、多くの社員が答えている通りです。他方で企業業績に関わらず動いてしまうのが相場です。それも期間が短いほどその要素が強まります。したがってインフレに強い企業でも、相場、つまり投資家の評価は別なのです。皆が長期投資家だったらまた違った結果になるのでしょうが、昨今はインデックスのまとめ買いのように企業の優劣関係ないですからね。よって長期投資家としては、仮に相場が下がった場合は、インフレに強く「しっかり業績を伸ばしていける企業に投資をする」に尽きるのです。
株式のインフレ耐性と相場は分けて考えましょう。インフレで一番怖いのはお金の目減りです。100円で買えたものが120円払わないと買えない。今ガソリンや食品の多くが値上げしているので、皆さん実感されていることと思います。お金をインフレに連動するところに置いておけば安心、これが株式です。ただしインフレ分を価格転嫁できる企業とできない企業に分かれるので、インフレであっても必要とする商品・サービスを提供する企業にきちんと選別投資することが非常に大切になりますのでご留意ください。相場のことは誰にも分かりません。ファンドの購入タイミングを検討されているのであれば、当社は将来の企業価値に照らし合わせて割安な株式に投資を行っていますのでいつ購入されても大丈夫ですが、私なら定期定額購入の増額をします。
株式がインフレに強いとされるのは、物価が上昇することで企業の収益が伸びるとされるためです。しかし、実際には株価が上昇する企業もあれば下落する企業もあります。なぜなら物価の上昇分を価格に反映できる企業とできない企業が存在するからです。今の相場の特徴は、ウクライナでの戦争をきっかけにエネルギー価格が上昇していることです。エネルギー価格の上昇は企業のコスト高へとつながりますので、それを商品の価格に反映させる必要があります。企業によって株価の変動が異なるのは、商品に価格転嫁ができる“強い”企業とそれができない“弱い”企業に分かれるためなのです。では、この激動の時代をどう乗り越えるか。私は長期投資の考え方こそが一つの切り口になると思っています。丁寧に企業を分析し、生活に根付いた“強い”企業を見つけるという行動こそが、今後生き抜いていくために必要だと考えます。
インフレに強いケースもあれば弱いケースもあり、現在の相場ではインフレが株式に好影響を及ぼすとは断言できないと考えます。需要が供給を上回ることで需給ギャップがプラスとなる“ディマンドプル・インフレ”では、景気循環と物価上昇が連動するようになります。一方、生産コストの上昇により起こる“コストプッシュ・インフレ”は、供給サイドの都合で物価上昇が起こります。昨今のニュースから、今のインフレは後者であることは明らかです。6/6に日銀の黒田総裁が「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言しましたが、これは日本でも賃上げの機運が高まりつつあることやコロナによる支出の抑制が、家計の値上げ許容度につながるとの解釈からきています。しかしながら賃上げの動きはありつつも、実際は未だ大企業に限定されていたり、そもそも大規模金融緩和により金融経済と実体経済の乖離が進んでいることは自明の理です。真に家計の許容度を高めるためには、まず日本企業全体の新陳代謝が図られ、生産性を改善させることによって賃上げに繋がり、それが景気循環のサイクルを構築すると考えます。
一括りにすべての株式がインフレに強いというわけではありません。生活を支える財・サービスを供給する企業という条件付きです。インフレになったからといって、食事を摂ることをやめますか? 風呂に入るのをやめますか? スマホを使うのをやめますか? 自動車に乗るのをやめますか?
現在は資源価格の上昇など生活者にとって悪いインフレが主となっておりますので、株式相場はインフレに強いとは言い切れないと思います。理由は、生活者の給料は変わらないまま光熱費などが上がっているため、可処分所得が減少し、消費に回すお金が減り、モノやサービスを提供している企業の売上は伸び悩むと考えるからです。一方で、現在起こっているようなインフレではなく【生活者の給料が上がる→消費が伸びる→物価が上がっていく】といった良いインフレであれば、企業の売上が上昇し株式相場は上がっていくと考えられるため、株式はインフレに強いと思います。では、良いインフレになるためにはどうするか? まずは個々の仕事においてのスキルを高めていき、給料を上げていくことが重要です。ですが日本では、なかなか給料が上がりづらいという現状があります。そのため、個々人の資産(所得)を増やしていく考え方として「お金に働いてもらう」があります。信頼できる資産運用のプロ(投資信託)にご自身の資産を任せ、【お金が働き資産が増える→消費意欲が高まりモノやサービスの需要が上がっていく→徐々に物価が上がる】といった流れができ始めると、株式市場も含めて経済全体がいい方向に向かっていくと思います。
株式と一言にいっても、世界中には様々な企業が存在しております。インフレは企業活動においてコスト増要因ですが、それを製品やサービスの販売価格にスムーズに転嫁できるような競争力のある企業は顧客から選ばれ続けることになるでしょう。一方、うまく対応できない企業は相対的に競争力のある企業に劣後することになり、最悪の場合は倒産の憂き目にあうかもしれません。倒産してしまうような企業の株式を保有していた場合、それはインフレに強いと言えるのでしょうか? 最近はインフレが話題になりがちですが、以前は新型コロナウイルスでした。コロナに上手く対応し顧客から選ばれ続けた企業がいる一方で、苦戦した企業も多かったことと思います。ご質問を私なりに解釈すると、「長期投資に適した企業はあらゆる外部環境の変化に柔軟に対応し企業価値を向上させ続けるため強い」ということだと思います。株式だから安心というわけではなく、外部環境の変化に柔軟に対応し顧客に選ばれ続け付加価値を生み出し続ける企業の株式こそ、様々な面において強く、長期投資の対象として相応しいと言えるのだと思います。
インフレにせよデフレにせよ、株価の上昇はズバリその企業が未来に向けて利益を生んでいけるかにつきます。良いインフレ、悪いインフレとありますが、昨今のは後者です。戦争、政治、コロナが原因で生まれた世界の分断は、結果として商売の分断も生んでいます。届くはずの物が届かない。だから足りない。だから物価が上がる。商売人からすればそれは大変です。仕入れる費用は上がり、結果手元に残る利益は少なくなってしまうのですから。つまり、この様な環境は株価にとっては向かい風になってしまうわけです。しかし、全ての企業にとって向かい風かと問われればそうではありません。ピンチはチャンスという言葉もあります。この社会的な制約は、革新を生む機会でもあるということです。分断された環境だからこそ新しいライフスタイルが生まれる。そこに商売機会を見出せる企業、あるいは消費者のニーズに応えられる企業は、未来にむけて利益を創出していくことが可能です。相場全体の険悪なムードに引っ張られて、そういった企業の株価が下がった時はむしろ投資するチャンスになります。株式投資とは企業の未来の成長に資を投じる行為です。如何なる環境であれ、その企業に成長の可能性があるかが重要です。そんな視点で考えると、きっと株式市場の世界もまた違って見えてくると思います。
米ペンシルバニア大学のシーゲル教授は、過去120年以上の長期株式投資の収益がインフレを差し引いても6.7%程度でまわっていると研究成果を語っています。なくなっては困る企業は、たとえインフレが到来して製品を値上げしても毎日の生活で買わざるを得ないので売上は増えます。実体経済とともに歩んだ企業の株主になることはインフレに乗ることが可能で財産の保全につながります。今回のインフレは40年ぶりのコストプッシュインフレで制御が難しいと思われます。金利が上昇すれば企業の地力が問われ淘汰が進むと思われますので、企業の選別には注力が必要です。また債券、預貯金は直接インフレのダメージを受けます。