セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
昨年の円安はさわかみ投信、さわかみファンドにとってどんな影響がありましたか?
- #景気経済
回答者による回答
さわかみファンドへの直接的な影響というよりは、懸念を露見させる出来事だったのではと個人的に振り返っています。端的に言うと、日本の国力低下が最大の課題です。資源高も合わせた輸入コストの上昇が生活者を苦しめる割には、バラ撒かれたマネーは投資・消費を通じて海外へ行ってしまう。本来、円安局面で海外にマネーを向かわせるのは不利なのですが、それでも国民に強い海外志向が残っていることが不思議です。つまり、日本を憂いている人は少ないのでは。そうなると、日本に自立した大人を増やそうと励んでいる当社、そして、さわかみファンドにとっては逆風となります。さわかみファンドの運用自体は他の社員が申すように大丈夫です。しかし、私たち自身が住み続ける日本をどうにかしようという気概が減ってしまうことは大問題です。皆さまの財産形成のお手伝いが主目的の当社ですが、つくった財産を自らの国で満足に使えないという社会にはしたくない…皆で長期投資を通じて社会を育むべきときです。為替変動は原因も含めて表層的な話です。そこから見える未来を思案したいと思います。
さわかみファンドは日本にお住いの方に対して円ベースでの資産を増やしていくことが最大の目的になっていますので、円からドルに交換しない限りはあまり影響がありません。あえて3点ほど上げると、①さわかみファンド内の海外資産について、為替により円換算での資産額が変動する ②魅力的な海外企業を買いたいときに、ドル高によっていつもより大きな金額が必要になるため株価が下落していても安値で拾いにくい ③短期的には投資先企業の為替差益(もしくは差損)により、企業損益や株価が変動する…などがあります。どちらにせよ為替は水物で、政治、経済政策、中央銀行のスタンスなどで変動が大きくなりやすいです。そのため私たちはより確実な、企業の中身を精査し、ちゃんと収益をあげる企業を投資で応援することを重視しています。
ご心配ありません。影響ございません。さわかみファンドの長期投資では、円安であっても円高であっても、世の中になくてはならない企業を厳選して投資させていただいております。その前提条件は企業の有機的な成長(オーガニックグロース)の長期シナリオを描き切る調査の徹底です。これは創業からの掟です。広く、深く、遠く多面的に推論して肚に落し込みますので、短期的な市況に振り回されることはありません。ファンド仲間の皆さまの長期的財産づくりのお手伝いが私たちのミッションですから、それに違わぬように、当社の長期投資のリズムは堅持してまいります。
ドル円レートを日銀データで確認すると、2022年は14.8%の円安となり132円前半で年を終えました。さわかみファンドの基準価額は1年間を通じてみると▲10.4%で、物足りなさが残る結果となりました。この結果は社員全員が反省しなければいけません。これが、私が受けた第一の影響です。円安が輸出企業を刺激し、株式市場全体にプラスの効果を与えていたのは一昔前の話。かつての日本であれば記録的な貿易黒字をあげていたのでしょうが、経済構造が変わったことを認識させられました。これが第二の影響です。外部環境や経済環境の変化に対する企業、市場、社会などの適応力と対応力を調べ、先行きを考えることは「推」と「論」。広く、深く、遠くを見渡した上での決断を実行することの大切さも痛感した次第です。先日愛媛・松山のファンド仲間とお会いした後、司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」の秋山兄弟の生家を訪問しました。弟・真之の「熟慮断行」と書かれた扁額を心に刻み、これからもお客さまファーストで臨む覚悟を新たにしました。これが第三の影響です。