セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』

オーナー（株主）とは理念の番人である…と、かつてイタリアの企業から教えていただきました。私たちの実質的なオーナーはさわかみホールディングスですが、精神面でのオーナーはファンド仲間の皆さまです。私たちが自信をもってお伝えする理念・哲学、そして日々の業務について常に皆さまに見守られていると感じています。それはとても心強く、そして時に怖いものです。セミナー等でお会いする度、「変わらぬ理念で安心したよ」とおっしゃっていただけることが私たちが前に進むための糧になります。独立系直販投信の真の価値は、皆さまとの約束をまっすぐに果たすための素晴らしい仕組みであると同時に、皆さまが私たちを良い意味で“監視”できるということです。つまり、理念の番人はファンド仲間の皆さまであり、皆さまと日ごろからお会いできるからこそ私たちは迷わないのです。もちろん、そんな番人を私たち自身が選ぶため、ことさら理念・哲学を広く伝えることをとても大切にしております。

さわかみ投信の理念や哲学は、誰かがつくったいつかの言葉としてではなく、それらが日本社会の活性化に向けた合理的な「思考」と「行動」であると私たち社員自身の腑に落ちているから変える必要がないのです。ただし、その本質が社員の腑に落ちるようにするためには「考える機会」が必要であり、その一つがこのQ&Aなのです。

私たちは、理念や哲学を大切にしていますので、お客さまがそう感じられたことがとてもうれしいです。私たちは、企業理念に込められた創業者の熱い想いや信念、哲学に共感し、それらを体現しようという強い思いで入社しました。そして、「長期投資で世の中をおもしろくしよう」という理念の実現に向けて、社員は自ら考え行動に移し、失敗することもありますが、決して否定されることはなく、また挑戦できるという自由な社風があります。社長や経営層とは距離が近く、直接相談したり学ぶことができるだけでなく、プロジェクトを行ったり、勉強会を開催したり、一緒に会社を成長させ、世の中にインパクトを与えられている感覚を得られることが社員の大きなやりがいとなっています。このような企業文化の中で、ノルマや売り上げなど数字を気にすることなく理念や哲学を追究し、それを勉強会等で発信し、お客さまから疑問や質問をいただいて、また追究する・・・そういった繰り返しの中で理念や哲学が社員の血肉になっています。それがファンド仲間や投資先企業との信頼につながり、企業としてもファンドとしてもここまで成長することができました。

当社の理念は表現等一部変化した部分がありますが、ご指摘のように趣旨は創業来変化していません。かたちには変わるもの、変わらないもの、変える必要のないもの、変えてはいけないもの、変わってしまうものなど様々です。私たちが四半世紀も理念を維持できた理由は、環境や時代が変わっても理念が変わらない真実を表していたためでしょう。理念や哲学なき資産運用は海図なき航海と同じで、いずれ取り返しのつかない失敗を招きます。だから私たちは理念を大切にしてきました。ただし維持できたのは決して自分たちの力だけではありません。理念の理解、共有そして共感してもらえるファンド仲間の皆さまからの支えなしでは決して達成できなかったでしょう。理念は道標であり、私たちと皆さまとを結ぶ絆です。

弊社の社員はさわかみ投信の理念に共感して入社したという点、また社員一人ひとりが「この会社なら面白いことができそう！」という気持ちで集まっているので非常にエネルギッシュです。入社してからも社長をはじめ創業者、取締役とも気軽に話ができる機会が非常に多く、経営陣がどういったことを考えて未来を見据えているのかがダイレクトに聞け、その思いや投資哲学を連綿と紡ぐことで現在もさわかみ投信の理念・哲学がぶれずにいられるのだと思います。そして何より、セミナー等を通してファンド仲間の皆さまに弊社の哲学や理念に共感をしていただき、応援してもらい、パワーをいただいているのが20年以上も続けられている所以だと思います。

ファンド仲間の皆さまの存在なくして、理念や哲学を貫くことはできません。目先の利益ではなく、ともにおもしろい世の中を創っていく「仲間」として、時にはセミナ－で、時にはお手紙で直接コミュニケーションを続けられていることが最大の理由です。そしてその背景には、さわかみ投信には外部株主がいないという構造的な面もあります。だからこそ、直販スタイルを貫くことができますし、本格的な長期投資を貫くことができます。私たちの理念や哲学に共感するのみならず、全国各地で見守っていただいているファンド仲間の皆さまに感謝するばかりです。いつも本当にありがとうございます。