セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
最近、日本企業の不正が目立っていますが、そういった企業でも応援するのですか?
- #投資運用
- #商品性格
回答者による回答
いかなる不正があったとしても、その事実と真摯に向き合い、未来に対して速やかに信頼を取り戻すための行動をとれるかどうかが重要です。同時に、その企業の変化に対して株主も責任を負います。例えば、社会に必要不可欠な技術やサービスを持っている企業の経営陣が何らかの不正を働いたとしましょう。その時、現在の経営陣の行いが原因で、この企業全体が完全に悪者企業と化してしまうのでしょうか? そもそも悪いのは現在の経営陣です。そんな時こそ投資家が株主として経営陣の入れ替えを要求することで会社を蘇らせることができれば社会にとっても有益です。不正はやってはいけない行為であることはいうまでもないですが、その事実そのものよりも、その先の未来に企業として変化できるのかを見極めることこそが投資判断につながるのです。
不正はマイナスポイントだと思います。どんなに消費者目線で経営しており、これからの世の中に必要とされる商品サービスを提供している企業でも、世間の評価は厳しいものだと思います。もちろん、私たちも冷静に判断するべきだと思います。ただ、いろいろな意見がある中でも、私たちは生活する上で、社会にとって必要な技術や製品、サービスを提供してくれている企業に応援投資をしているということは忘れてはいけないと思っています。判断する上で、私たちがその企業に対し、今後も本気で応援し続けたいか、本気で応援する価値があるのかという視点が大事だということです。そこを前提に、企業が不正に対してきちんと原因を突き止め、今後同じことを繰り返さないよう、会社として消費者や私たちに信頼を取り戻すための姿勢が確認できた場合には応援することもあると思います。本気で改善しようとする企業を応援することで、これからの世の中づくりや社会の発展に繋がると考えます。
消費者や投資家を裏切る行為に反省が迫られるのは当然のことです。様々な事情があったにせよ、企業として然るべき責任は果たさねばなりませんし、それを求めることも投資家としての責務だと考えています。しかし同時に思い起こしたいのは、私たちが掲げる「長期投資」の意味。もともと順風も逆風も共に乗り越えるつもりで投資先に選びました。私たちのポートフォリオを埋めているのは、皆さまの生活になくてはならない、未来に遺したいと思える会社ばかりです。企業も人間と同じように間違いや失敗を犯すことがありますが、それを逆手に企業体として更に強くなることも可能だと信じています。数十年前のことになりますが、ある著名な経営者のエピソードが経営史ではいまだに語り継がれています。その会社の製品が欠陥により1件の死亡事故を起こした際、販売商品の全回収を命じ、誰が買ったかわからないため最終的には全国民に葉書を送ってその危険を呼び掛けたそうです。結果的にはその誠心誠意の対応が、失敗をきっかけとして会社の信用をかえって高めることになったといいます。過ちは犯しても、その事実にどう立ち向かうか、そこにこそ企業の真価が問われるのかもしれません。再生を信じることができる会社である限り、私たちはその企業の応援者をやめることはありません。