セミナーQA集 『自立して堂々と生きていこう』
SEMINAR QA
SDGsや気候変動対策が世界で叫ばれていますが、実際に企業の収益につながるのはいつごろでしょうか?
- #金融一般
回答者による回答
いつも、です。すなわち社会や未来に貢献できない企業は存在し続けるのは難しいという意味です。運よくビジネスを当てても一発屋で終わるでしょう。逆質問ですが、環境活動が企業収益につながらなければ投資をしないのですか? もちろん投資にリターンを求めるのは当然のことと思います。しかしリターンありきの投資で勝ち続けられるでしょうか? 地球の未来を憂い、本業において課題解決を図っている企業。そのような企業活動が社会が求めるものと重なった時、社会はそれを選ぶのです。つまり経済の片面を支配する消費者が企業を選んでいるのです。SDGsやESGは収益を上げるものではなく、地球で生きていくための当たり前のこと。当たり前ができないと市場からの撤退を要求されるだけ。投資に再現性を求めるなら、社会が必要とし続けるような企業を選ぶべきでしょう。長期投資とはそういった社会責任の意識を持った企業への応援投資であり、世に応援投資が増えると、SDGsなどの捉え方がまた少し変わってくると思います。いや、共に変えましょう。投資や消費は未来への投票なのですよ。
つながらないんじゃないでしょうか。少なくとも普通に考えればそう思います。目指している大きな方向性は長期的に見れば正しいかもしれませんが、すぐにリターンを享受できるとは思いません。目先の利益を犠牲にして将来の社会のために行動するなんて、経済合理的でもありません。これまで散々二酸化炭素を大量に排出しながらここまでの発展を遂げたのに、今になって厳しい態度を取り始めるのもなんだか私には違和感です。理想は良くても流行りの言葉に単純に踊らされたくないなぁ、なんてひねくれた気持ちが私にはあるのですが。でも、私は消費者として商品を選ぶとき、社会性・公共性を持った企業や、機械にはない人の温もりを付加価値として昇華しているような商品には、昔から幸福感を持ってお金を使うことができると感じていました。豊かな国に生まれたことの特権かもしれませんね。でも感覚的には、これが未来の経済の向かうべき方向のような気がします。人々の意識が少しずつ変わり、高まり、質の経済に移行していく大きなうねりができた時が、こうした理想を掲げる企業の収益に転化していく時だと思います。そしてこのうねりは、私たち一人ひとりの投資家としての行動で必ず起こしていけると思っています。
日本企業はSDGsや気候変動対応に関して、欧州の企業に比べて遅れをとっていると思います。しかし、これは日本にとってチャンスかもしれません。例えば、ガソリン車の急速な禁止や再生可能エネルギーへの急激なシフトといった準備不足の行動は、気候変動へのプラスの影響が大きく疑問視される一方で、消費者や経済全体に悪影響を及ぼしています。SDGsに基づく決定を行ったドイツ経済の10年後の状況を見れば、トヨタのハイブリッド車に関する過去の決断や、INPEXの天然ガス戦略への方向転換は、利益創出と炭素排出削減のバランスを取った賢明な判断であったと考えます。さわかみファンドは社会にポジティブな影響を与えることから、両社を支持しています。
SDGsや気候変動への対応が国際的に求められていますが、これが即座に企業の収益や株価に結びつくとは限りません。SDGsという言葉が、まるで投資の未来を切り開く魔法のように扱われていますが、実際にはそう単純ではないのです。金融業界や証券会社が環境問題を利用して一時的な投資の流行を作り出すことも多いのです。投資の世界は人気投票に近い部分があり、企業は流行に乗った商品を作りたがります。しかし、長期投資で成功するためには、その背後にある本質を見極めることが不可欠です。その本質とは何かというと、本当にその企業が一般の生活者にとって必要なものを提供しているか? 日本や世界の経済にとって持続的な成長を促す存在なのか?そうした視点を持たなければ、目先の流行に踊らされ、本質的な価値を見失ってしまいます。トレンドやキャッチフレーズに惑わされず、長期的な視野で本質を捉える投資が、最終的には大きな成果をもたらすのです。